シロイヌナズナ

シロイヌナズナは学名をArabidopsis thaliana (アラビドプシス サリアナ)と言います。双子葉植物で、アブラナ科に属します。アブラナと聞くと高さ1mぐらいで、黄色花をつけた菜の花が思い浮かぶかもしれません。シロイヌナズナは大きくなったとしてもせいぜい50cmぐらいで、実験室で育てると30cmぐらいになることが多いです。

アブラナは油菜とも書くとおり、昔から油をとるために栽培されてきました。種に多くの油が蓄積されていて、品種により種の重量の40%ぐらいが油です。

シロイヌナズナ種子写真

左はシロイヌナズナの種子です。下の目盛りは1mmなので、シロイヌナズナの種はとても小さいことがわかります。実験に使うときはこの種を一粒ずつ播いていきますが、ピンセットでつまむようなこともできないので、種まきには熟練の技が必要です。

種を播いたあと、2-4日ぐらいアルミ箔でくるんで冷蔵庫の中にいれておきます。こうすることでシロイヌナズナは寒い冬を土の中で過ごしたような気になって、人工気象機に移したあと一斉に発芽するようになります。

左は発芽10日後のシロイヌナズナです。写真の中央から左上と右下に出た葉が子葉です。シロイヌナズナの子葉は種の中で形は出来上がっていて、発芽時に種からでて開きます。この写真では下方向に曲がっているので、見えている部分はほとんど子葉の裏側です。

右上と左下に広がる葉が本葉です。本葉は発芽後に新しく発生してきます。シロイヌナズナでは最初の2枚はほぼ同時にできてきて、子葉に直交する方向に広がります。本様の表面にはトライコームと呼ばれる棘(とげ)ができます。このトライコームは一つの細胞からできる複雑な形をしています。

3枚目以降の本葉は先に本葉と一定の角度をなす方向に広がっていきます。葉ができるだけ重ならないようにして、太陽光をできるだけ多く受け止められるようにする植物の工夫と考えられています。シロイヌナズナではおおよそ137度の角度で順に葉ができるので、らせん葉序をつくります。